土地や空き家のこと2021.09.30
建売住宅と注文住宅はどちらが売れやすい?初めての売却に必要な基礎知識を解説〜その1
戸建てを売却する場合、建売住宅と注文住宅、どちらが売却しやすいのでしょうか。建売を売却予定の方の中には、「注文住宅よりも売りにくいかも」と心配している方もいるかもしれませんね。
今回は、実際にどちらが売却しやすいのかを解説するほか、売る時の手順についてもわかりやすくお伝えしていきます。
建売住宅と注文住宅の違い
まずは、建売住宅と注文住宅の特徴を押さえておきましょう。
建売住宅とは
建売住宅は、一般的に土地と建物(住宅)をセットで販売する住宅です。不動産会社などがまとまった土地を仕入れていくつかの区画に分け、同じ仕様の住宅を数棟建てて販売します。大規模に開発した新興住宅地の分譲もあれば、数棟程度の小規模な分譲もあり、大規模開発の場合には複数の住宅会社や不動産会社が販売することが多いです。
建売住宅は、住宅が完成してから販売する場合もあれば、設計プランは決まっているけれど建築中または建築前の段階で販売する場合もあります。土地はもちろん、住宅の間取りや設備、仕様が決まっているためコストが抑えられ、注文住宅と比べて割安になる傾向があります。
注文住宅とは
注文住宅は、施工主の希望に応じたオリジナルの設計で建築する住宅のことです。依頼するハウスメーカーや設計事務所により自由度に違いはありますが、基本的には一から設計し、法律の規制内で、間取りや工法、設備などを、自由に選べるのが最大の特徴です。
土地と建物はセットではありませんので、土地がなければまずは土地を購入すること必要です。すでに土地がある場合は、住宅を注文するだけです。家の間取りや設備はもちろん、壁紙一つまで希望通りにできるなど自由度が高いのがメリットですが、その分、建売住宅よりも割高になりがちです(設計や仕様が限られるケースもあります)。
建売住宅が売却しやすいのはなぜ?
イメージ的には、コストがかかっている注文住宅の方が売れやすそうと思うかもしれませんが、売却しやすいのは建売住宅の方です。
建売住宅は、そもそも多くの人が満足できる間取りや仕様で建てられている「万人受けしやすい住宅」。だからこそ、建物が完成している状態でも多くの人が購入しているのです。ここが、中古住宅になっても売却しやすい理由にもなっています。
不動産会社や住宅会社が建売住宅を建てる際は、その地域で需要のある層の家族構成なども考慮して設計されています。その点、注文住宅は、施主のこだわりや特定の家族構成・希望に沿った建物になっていますので、次に購入する人をかなり狭めてしまいます。
その地域の標準的な家族構成の暮らしにマッチする間取り、仕様、予算配分で造られた住宅は、中古物件になっても、多くの人の需要と一致して売れやすいのです。
住宅を売却する時の手順
家を売る時は、次のような段階を踏んで進めていきます。
1.売却物件の相場を調べる
2.売却物件の査定を依頼する
3.不動産会社の決定・依頼
4.売却物件の販売・内見
5.売買契約
6.物件の引き渡し・売買代金受領
1.売却の相場を調べる
家を売却するとなったら、まず最初に相場を調べましょう。売却価格を決めるためにも、近隣の相場をしっかりチェックしてください。
「自分で調べなくても、不動産会社に査定してもらえば良いのでは?」と思うかもしれませんが、相場を把握していなければ、不動産会社から提示された査定価格が、妥当かどうかの判断もつきません。
今はインターネットで、誰でも全国の売買物件を調べられます。不動産のポータルサイトや地域の不動産会社のホームページ、一般の人でも検索できるレインズサービスなどで、近隣で似た条件の物件が、どの程度の価格で売買されているか確認しておくことが重要です。
2.物件の査定を依頼する
相場を把握できたら、不動産会社に査定を依頼します。査定の方法は大きく分けて、一度に複数の不動産会社に査定が依頼できるインターネットサービスを利用する方法と、地域の不動産会社に依頼する方法があります。
まずは、現地を見ることなく物件情報だけで行う「簡易査定」を、複数社に依頼するのが一般的。次に簡易査定の結果を見て不動産会社を1、2社に絞り、実際に現地調査を行う「訪問査定」を依頼するといいでしょう。物件を見ずに行う簡易査定は、頼む方は楽ですが、やはり査定の精度は低いもの。きちんとした査定額を出すためには、訪問査定が確実です。
査定は複数社に依頼するのがおすすめです。金額の根拠や妥当性を比較することで、より良い条件を提示する不動産会社と出会える可能性が高まります。自分で調べた相場との比較も行ってください。
3.不動産会社の決定・依頼
査定を経て、依頼する会社が決まったら、不動産会社へ正式に物件の売却を依頼するための契約を交わします。この契約を「媒介契約」といい、販売の仕方などで異なる3種類があります。状況に応じて、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の中から選びましょう。
①専属専任媒介契約
契約できる不動産会社は1社のみ。たとえ自分で買い手を見つけてきても、個人で直接取引することはできず、不動産会社が仲介することになります。レインズ(不動産流通機構)の登録義務があります。
②専任媒介契約
契約できる不動産会社は1社のみ。自分で買い手を見つけてきた場合は、不動産会社を仲介せずに売却することができます。レインズ(不動産流通機構)の登録義務があります。
③一般媒介契約
複数の会社と契約できます。自分で買い手を見つけてきた場合は、不動産会社を仲介をせずに売却することができます。レインズの登録義務はありません。
専属専任や専任は1社としか契約できませんが、それだけ広告に力を入れ、積極的な売却活動を行ってもらいやすいと言えます。ただし、上記でも触れたように売主に厳しい制限もあり、どの媒介契約が良いかは一概に言えません。また、実際に売却活動が始まってみないと、どのような反応があるか読めない部分もあります。
媒介契約の有効期間は、一般的に3カ月程度と決まっています。その間の様子を見て、契約方法を変えたり、不動産会社に不満があれば依頼する業者の変更を考えるといいでしょう。
これら3つの媒介契約のメリットとデメリットについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事を参照ください。
3つの媒介契約「一般・専任・専属専任」の違いを徹底解説〜その1
3つの媒介契約「一般・専任・専属専任」の違いを徹底解説〜その2
4.物件の販売・内見
インターネットやチラシなどを通じて物件情報が広まると、興味を持った人から内見の申し込みが入ります。すでに空き家の状態か、住んでいる状態で見てもらうかは、売主により様々なですが、いずれにしても住宅に好印象を持ってもらうことが大切です。
見た目の印象は、購入を左右する非常に重要なポイント。いつでも内見できるよう掃除と整理整頓を行い、気持ち良い対応を心がけましょう。
5.売買契約を締結
購入者が決まったら、売買契約を締結します。契約時には必要な書類を準備して、売買代金の一部を「手付金」として受け取ります。売買代金の残金が売主に支払われるまでは、物件の引き渡しはありません。買い手側が住宅ローンを利用する際には、ローン審査が下りたあとに残金の決済と物件の引き渡しをします。
6.決済・引き渡し
売買契約からおおよそ1~1.5カ月以内が、残金の決済と物件の引き渡しの目安です。決済と同時に、司法書士に名義変更の手続きをしてもらうことで、無事引き渡しになります。この際、不動産会社に仲介手数料を支払います。これで家の売却が完了です。
建売住宅は、注文住宅よりも売却しやすい理由と、初めて売却する人が知っておきたい売却の手順と注意点を紹介してきました。次回は売却時に発生する費用と、確定申告が必要な理由を解説します。