ローンやお金のこと2025.10.29
任意売却と競売の違いを徹底解説!メリット・デメリットも確認
こんにちは。イエステーション北章宅建 札幌北店の蛸星です。
住宅ローンの返済が困難になった際、「任意売却」や「競売」という言葉を耳にすることがあります。
どちらも、不動産を売却して債務を整理する方法です。
ただし、「任意売却」と「競売」では、手続きの進め方や売却価格、その後の生活への影響に違いがあります。
「どちらを選べば良いのだろう?」「それぞれのメリット・デメリットを知りたい」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、任意売却と競売の基本的な違いから、それぞれの特徴をご紹介。
さらに、「任意売却」と「競売」以外に検討できる選択肢まで、詳しく解説いたします。
任意売却と競売の違いとは?
住宅ローンの返済が難しくなった場合、不動産を売却して債務を整理する方法としてよく利用されるのが「任意売却」と「競売」です。
いずれも、一般的な不動産売却とは異なり、売却代金で住宅ローンを完済できない「オーバーローン」のときに行う手続きで、債権者(金融機関など)の関与が必要になります。
ただし「任意売却」と「競売」は、手続きの進め方や売却価格、買い主の決まり方などに明確な違いがあるので、それぞれの特徴を確認していきましょう。
任意売却とは
債務者と債権者の合意のもとで、市場に物件を出して売却する方法です。
通常の売却に近い流れで進められるため、柔軟に対応できるのが特徴です。
【任意売却の特徴】
- 手続きの主体:債務者(金融機関など債権者の同意が必要)
- 売却価格:市場価格の80~90%程度
- 売却期間(引き渡し時期):買い主との話し合いで柔軟に調整可能(※ただし競売に移行する前に手続きを完了させる必要あり)
- 買い主の選択肢:一般購入者から選択可能
- 心理的負担:競売より少なく、周囲に知られにくい
- 残債務:売却価格が高めなので残債を抑えやすい
任意売却の基本的な仕組みや通常の売却との違いをさらに詳しく知りたい方は、下記のコラムもぜひあわせてご参照ください。
任意売却はどんな売却方法?通常の売却との違いが知りたい
任意売却は連帯保証人にどう影響する?進め方や注意点も紹介
離婚での任意売却にデメリットはある?メリットや注意点、流れも知っておこう
競売とは
債権者が裁判所に申し立て、強制的に物件を売却する方法です。
所有者自身の意思では進められず、価格も安くなりやすいのが特徴です。
【競売の特徴】
- 手続きの主体:裁判所(債権者が申し立て)
- 売却価格:市場価格の50~70%程度
- 売却期間(引き渡し時期):「競売開始決定通知」が届いてから約6〜9カ月
- 買い主の選択肢:入札者(落札者に決定権がある)
- 心理的負担:競売情報が公開されるため負担が大きい
- 残債務:売却価格が低いため、多く残る傾向がある
任意売却では売却後の生活再建がしやすい一方、競売は強制的に進むため、自由度がほとんどありません。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った選択肢を見極めることが大切です。
任意売却のメリット・デメリットは?
任意売却は、住宅ローンの返済が難しくなったときに、できるだけ有利な条件で家を手放したい人に向いている方法です。
【任意売却が向いている人】
- ローンの滞納が始まったばかりの人
- できるだけ高く売って、残った借金を少なくしたい人
- 周囲に知られず、静かに売却を進めたい人
- 引越しや新生活の準備に少し余裕を持ちたい人
なぜなら、任意売却は「通常の不動産売却」に近い形で進められるからです。
競売と違い、ある程度売り主の希望を反映しやすいのが特徴です。
任意売却のメリット
任意売却のメリットは以下のものがあります。
① 売却価格が相場に近い
任意売却では、市場に出して一般の買い主を探すため、価格もその地域の相場に近づきます。
競売より高く売れるケースが多く、結果的に残った借金を減らせる可能性が大きいです。
② 引き渡し時期を調整しやすい
買い主と相談して、引越しのタイミングを決められる点もメリットです。
自分たちの予定に合わせられる柔軟さがあります。
③ 販売活動でプライバシーに配慮できる
任意売却の場合、競売のように裁判所で情報が公開されることはありません。
不動産会社と相談しながら、近所に事情を知られないように販売を進めることも可能です。
④ 売却費用や引越し費用の負担を抑えられる
任意売却では、仲介手数料などの諸費用は売却代金から差し引く形で精算可能です。
さらに、債権者との交渉次第では、引越し費用を売却代金の一部から確保できる場合もあります。
⑤ 残債の返済方法を話し合える
競売と違い、残債についても債権者と分割払いの交渉ができるケースがあります。
生活再建に向けて、現実的な返済計画を立てやすくなるのもメリットです。
任意売却のデメリット
一方、任意売却には次のデメリットがあることには注意が必要です。
①債権者(金融機関)との話し合いが必要
任意売却を進めるには、「この金額で売って良いですか?」と金融機関に確認し、同意を得る必要があります。
複数の金融機関が関係している場合は、調整に時間がかかることも。
②売り主がある程度動く必要がある
任意売却は競売のように自動で進むわけではありません。
不動産会社を探したり、手続きの流れを理解したりと、売り主自身がある程度自分で動く必要があります。
③売却までに時間の余裕があまりない
競売が始まる前、もしくは開始直後の限られた期間のうちに売却を進めなければいけません。
スピード感が大事になるため、早めの行動が必要です。
④ 信用情報への影響
住宅ローンを延滞した段階で、信用情報機関に事故情報として登録されます。
任意売却を行なっても、一定期間は新たな借り入れが難しくなる点に注意が必要です。
なお、任意売却を検討している方は、メリット・デメリットだけでなく、売却の進め方や相談先の選び方も確認しておくと安心です。
任意売却には種類がある?6種類の任意売却の方法を解説します
任意売却するなら誰に相談すべき?相談先別のメリット・デメリットも
住宅ローンを滞納したらどうなる?競売・任意売却の流れ
競売のメリット・デメリットとは?
競売は、住宅ローンの滞納が長引き、任意売却が間に合わなくなったときに取られる手続きです。
下記のように、手続きを進める余力がない人や、すでに裁判所への申し立てが始まっている人が対象になるケースが多く見られます。
なぜなら、競売は債権者(金融機関)が主導で進める売却方法だからです。
所有者が積極的に動かなくても、手続きは裁判所を通じて自動的に進んでいきます。
【競売になるケース・選ばれやすい人】
- 住宅ローンの滞納が長期化しており、任意売却に充てられる時間が残っていない人
- 手続きや交渉を自分で進めるのが難しい人
- 差押えがすでに行われている人
- 「何もしなくても家が処分される形で良い」と考える人
競売になるまでの流れや、競売を避けるための対策を知っておきたい方は「競売にかけられたらどうする?流れや回避方法を知って対応しよう」を参考にしてください。
競売のメリット
まず、競売のメリットは以下のものがあります。
① 所有者(債務者)が売却の手続きを進める必要がない
競売は金融機関が裁判所に申し立て、裁判所を通じて進める仕組みです。
そのため、所有者が不動産会社を探したり、売却活動を行う必要はありません。
所有者が動かなくても、手続きそのものは自動的に進みます。
② 法的に確実な債権回収が行われる(債権者側のメリット)
裁判所の手続きに基づくため、債権者側にとっては確実に債権回収が進められる点も特徴です。
競売のデメリット
一方、競売には次のデメリットがあります。
① 売却価格が安くなりやすい
競売は任意売却での売却金額よりも安い価格で落札されることが多く、残ったローンの返済負担が大きくなる傾向があります。
② 引き渡しの時期を自分で選べない
買い手との交渉はできず、落札者の都合で引き渡し時期が決まります。
場合によっては立ち退きまでの猶予も短く、引越しの準備に時間が取れないこともあります。
③ プライバシーへの配慮が難しい
競売情報はインターネットなどで一般公開されます。
住所や物件情報も公開されるため、近所の人や知人に知られる可能性が高くなります。
④ 引越し費用や売却費用の確保ができない
任意売却のように、売却代金の一部から引越し費用を確保することは基本的にできません。
引越し費用は自分で用意する必要があります。
任意売却・競売以外に検討できる選択肢はある?

住宅ローンの返済が難しくなると、「任意売却と競売、どちらが良いのだろう」と悩む人が多いかもしれません。
ただし、状況によっては、任意売却と競売以外の方法を選べる場合もあります。
例えば、「今の家にできるだけ長く住み続けたい」「借金の内容自体を見直したい」「家族で引き継ぎたい」という希望がある場合、以下のような選択肢が検討対象になることもあります。
① リースバック
リースバックは、所有者が家を一度売却し、その後は買い主に家賃を支払って住み続ける仕組みです。
「家を手放す必要はあるが、転居は避けたい」という人に適しています。
【向いている人】
- 住み慣れた家を離れずに生活を続けたい人
- 売却代金で住宅ローンを整理したい人
- 安定した収入があり、家賃を支払える人
所有権は買い主に移るため、将来的な契約内容には注意が必要です。
長く住み続けたい場合は、契約期間や更新条件、再契約の有無を必ず確認しておきましょう。
契約によっては、将来的に家を買い戻せる「再売買特約付きリースバック」や「買戻し特約付き契約」が設定できる場合もありますが、これは任意の取り決めであり、すべての契約に付けられるわけではありません。
また、リース期間が短いケースや、再契約時に家賃が上がる場合もあるため、契約前に内容を十分に確認しておくことが大切です。
こちらのコラムもあわせてご確認ください。
不動産売却後も住み続けるリースバックとは?メリット・デメリットも
リースバック契約後はいつまで住める?長く住み続ける方法とは
② 債務整理(自己破産・個人再生など)
債務整理は、弁護士などを通じて借金の返済義務を減額・免除する法的手続きです。
多くの場合、住宅は手放すことになりますが、住宅ローン以外の借入も含めて負担を減らせる可能性があります。
【向いている人】
- 複数の借入があり、返済の見通しが立たない人
- 住宅ローンの返済が困難な人
- 借金全体の整理を優先したい人
返済負担を大幅に減らすことができる反面、信用情報機関に登録され、一定期間は新たな借入やクレジット契約が難しくなる点にも注意が必要です。
早めに弁護士や司法書士など専門家へ相談すると安心です。
③ 家族・親族間での売却・名義変更
親族に家を買い取ってもらい、所有者が家を手放しつつ、身内がそのまま住み続けたり、次の世代に引き継いだりする方法です。
【向いている人】
- 家を第三者に売却したくない人
- 自分は家を手放すが、家族に住み続けてほしい人
- 家族や親族に資金力や購入意向がある人
家族間で柔軟な条件で進められる反面、売買価格が相場より大きく安い場合は、差額が贈与税の対象となる可能性があります。
また、親族間売買は金融機関の審査が厳しくなる傾向があり、住宅ローンの利用が難しいケースもあります。
金銭トラブルや税務上のリスクを避けるためにも、契約内容を明確にし、税理士や司法書士などの専門家に相談して進めることをおすすめします。
まとめ
●任意売却と競売の基本的な違いを理解しよう
任意売却は債務者の意思で行う売却方法で、競売は裁判所主導の強制的な手続きです。
●任意売却は生活再建を重視する方におすすめ
任意売却は、市場価格に近い金額で売却でき、残債務を大幅に抑えられるため、その後の生活立て直しに有利です。
●競売は手続きの負担は少ないが、デメリットが大きい
競売は債務者の手間の手間が少ない一方で、売却価格が任意売却よりも安く、心理的負担も大きくなりやすい傾向があります。
●状況に応じて、任意売却と競売以外の選択肢も検討しよう
任意売却や競売以外にも、リースバック、債務整理、家族間売却といった選択肢もありますので、状況に応じて検討してみましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
 
							札幌北店 蛸星 香奈実平成22年から不動産業に従事し、主に土地、中古戸建、新築戸建、マンション等の不動産売買をお手伝いしてきました。平成28年より、ご縁があり北章宅建株式会社に入社しました。 日々、お客様とのふれあいを通じて、新たな発見ができることを楽しみながら仕事をしています。 ご売却、ご購入に限らず、お住まいでお悩みのことがありましたら何でもご相談ください。 過去の経験や知識を活かし、お客様の希望をかなえられるよう、より良い提案をさせていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
この担当者がいる店舗のページ

 
	 
	 
	