不動産査定について2024.11.13
不動産の相続で査定が必要な理由とは?方法や注意点も紹介
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の柴田です。
「不動産相続をする際、査定が必要と聞いたがなぜだろうか?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
また、査定はどうやって行うのか、査定をしたあと、分割して相続することはできるのか知りたいという方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回のコラムでは、不動産の相続で査定を受ける理由に焦点を当て、査定方法や注意点を解説します。
査定した相続不動産を分割する方法もあわせてご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
不動産の相続で査定を受ける理由とは?
不動産の相続で査定を受ける理由には、次のものが挙げられます。
査定を受ける理由①市場における不動産の適正な価値を知るため
相続した不動産の適正な価値を知れば、相続税の計算や資金計画が立てやすくなります。
例えば、相続した土地の固定資産税評価額(不動産そのものの価値)が1,000万円だとしても、現在の市場での価値(時価)が1,500万円なら、相続税はその市場価値に基づいて算出されるからです。
相続税の正確な計算のためにも、査定で市場の価値を把握することが大切です。
相続税評価額については「不動産の相続税評価額とは?算出方法によっては相続税節税も」で詳しく解説しています。
査定を受ける理由②適切な売り出し価格を設定するため
複数の相続人がいる場合、不動産はそのままでは分けられません。
相続した不動産が唯一の遺産であれば、売却して現金化することで公平に分けやすくなります。
査定結果をもとに適切な売り出し価格を設定することで、相続人全員が納得できる金額で売却できるでしょう。
査定を受ける理由③相続人間で意見が分かれる場合に備えるため
遺産分割の話し合いでは、不動産の価値について相続人間で意見が食い違うことも。
「この不動産はもっと高く売れるはずだ」と主張する相続人がいたり「固定資産税評価額で十分だ」と考える相続人がいたりすると、基準となる金額が定まりません。
専門家による査定結果があれば、中立的な意見として役立ち、遺産分割協議をスムーズに進める手助けになります。
例えば、査定結果が4,000万円だった場合、「私が土地をもらうから、あなたは4,000万円分のほかの遺産を受け取れば良い」というように、双方が納得しやすくなるでしょう。
査定を受ける理由④負債がある場合に適切な対処法を計画するため
相続不動産にはローンが残っていることもあります。
相続する不動産が住宅の場合、住宅ローンを組むときには団体信用生命保険(団信)加入もすることがほとんどのため、住宅ローンを組んだ方が亡くなった場合は、住宅ローンの支払いはなくなります。
ただし、団信に加入せずに住宅ローンを組んでいる場合や、不動産が賃貸アパートやマンション・ビルなどで、住宅ローンではなく別のローンを組んでいる場合は、ローンの支払いが残っている可能性があります。
また、相続ではマイナスの財産もすべて相続することになるため、住宅ローンはなくなっても、ほかに負債があればそちらも相続する必要があります。
例えば、家を売ったときに2,500万円で売れるとしても、ほかに負債が3,000万円あったら、実質的にマイナスの資産を引き継ぐことになってしまうのです。
査定を受けておけば、おおよその売却金額が把握できますので、遺産相続や相続後の不動産の取り扱いについて、「相続放棄をする」「任意売却を検討する」といった現実的な選択肢を検討できるでしょう。
相続放棄や任意売却について知りたい方は、ぜひ下記のコラムもあわせてご参照ください。
不動産関係の「相続放棄」その判断や方法、注意点とは?
任意売却はどんな売却方法?通常の売却との違いが知りたい
査定を受ける理由⑤特殊な条件への対応を行うため
借地権や共有名義など、特別な条件がある不動産の場合、普通の評価方法では適切に価値を把握しにくいケースがあります。
例えば、自宅の土地が借地権付きの場合、その市場価値は普通の土地とは異なるため、専門家による詳しい査定が必要です。
不動産の相続で査定を受ける方法
相続不動産の価値を知るには、一般的に次の4つの査定方法があります。
査定方法①一括査定サイトで「机上査定(簡易査定)」を利用する
手軽に相場観を掴みたい場合には、インターネットの一括査定サービスを利用して、机上査定を不動産会社に依頼するのがおすすめです。
机上査定は、物件の所在地や面積、周辺相場などの情報をもとに行われる簡易的な査定方法です。
まとめて複数社に依頼できるので、査定結果を比較するだけでなく、売却時に仲介を頼む不動産会社選びにも役立つでしょう。
査定方法②不動産会社に「訪問査定」を依頼する
訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、詳細な調査を行います。
物件の状態や周辺環境を考慮した上で、より正確な市場価格を算出してもらえるため、売却を考えている場合には特に有効です。
机上査定と同じく、基本的に無料で利用でき、気軽に相談できるメリットがあります。
査定方法③不動産鑑定士に依頼する
法的効力のある正式な評価書を取得したいなら、不動産鑑定士に依頼するのが良いでしょう。
不動産鑑定士は国家資格であり、市場価値や収益性を考慮した客観的な評価を行います。
ただし、鑑定料がかかるため、費用対効果を考慮する必要があります。
費用は、戸建て・マンション・土地のみといった不動産の種類や面積など、物件の条件によって違ってきますが、1件あたり20〜50万円程度が相場です。
査定方法④自分で調べる
自分で不動産の評価額を調べる方法もあります。
固定資産税評価額や公示地価などの公的データを活用して、大まかな市場価値を把握することができます。
しかし、自己査定には限界があるため、あくまで参考情報として位置づけ、専門家の査定結果を裏付ける目的で行うことが望ましいでしょう。
評価額の調べ方は、「土地の実勢価格の特徴や調べ方を徹底解説。公示地価や路線価とは何が違う?」のコラムで解説していますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
不動産の相続で査定を受けるときの注意点
相続不動産の査定を受け、円滑に相続・売却を進める際には、次の点にご注意ください。
- 相続登記が完了していない不動産は売却ができない
- ローンが残っていないか確認する
まず、故人名義のままでは相続不動産の査定・売却はできません。
相続登記を行い、相続人へと名義を変更しなければ、不動産を法的に処分することはできないからです。
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されていることもあわせて、お早めに手続きされることをおすすめします。
そして、不動産にローン残債があるかどうかを確認することもお忘れなく。
売却価格よりもローン残債やほかの負債が多いと、自己資金で差額の補填が必要となり、負担になります。
返済予定表や残高証明書で残債金額を確認し、借入先が不明な場合は、法務局から全部事項証明書を取得して抵当権の設定状況を確認しましょう。
査定した不動産の相続を分割する方法
最後に、相続不動産の分割方法をご紹介しましょう。
主な分割方法は次の通りですが、とりわけ代償分割と換価分割は、査定できちんと不動産の価値を調べることが求められます。
状況に応じて、特徴を踏まえた上で、方法を選ぶことが大切です。
分割方法①現物分割
不動産そのものを物理的に分け、それぞれの相続人が単独で所有権を取得します。
例えば、兄弟が親から相続した100坪の土地を現物分割する場合、単純に50坪ずつ分けるといった方法です。
分割方法②代償分割
1人の相続人が不動産を取得し、ほかの相続人に代償金を支払う方法です。
例えば、相続財産が3,000万円の不動産と1,000万円の預金で、兄が不動産を相続した場合、弟には1,000万円の代償金を支払うことで公平に分配します。
ただし、不動産を引き継ぐ側には資金力が求められます。
分割方法③換価分割
不動産を売却して得た現金を相続人で分配する方法です。
例えば、兄と弟が親から相続した3,000万円の不動産を売却し、その売却益を2人で1,500万円ずつ分けることができます。
分割方法④共有分割
複数の相続人で不動産を共有する方法です。
1つの不動産を分ける必要がない一方、共有名義の場合、売却や改築には共有名義人全員の同意が必要となり、売却などの際、トラブルに発展する可能性があります。
詳しい特徴や注意点は、「相続した不動産を遺産分割する方法は?それぞれの特徴や注意点も。」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
まとめ
●不動産の相続で査定を受ける理由
相続不動産の査定を受ける理由は、相続不動産の価値を知ることで、相続税を正しく計算したり、売却時の適正価格を設定したり、相続不動産をスムーズかつ公平に分割できたりするからです。
●不動産の相続で査定を受ける方法
査定には、手軽に調べられる机上査定や、不動産会社に実際に物件を見てもらう訪問査定、不動産鑑定士に依頼する方法などがあります。
●不動産の相続で査定を受けるときの注意点
相続登記が終わっていないと、不動産を売ることができません。
ローンが残っている、ほかに負債がある場合などは、相続することでマイナスの資産まで引き継ぐことになりますので注意しましょう。
●相続不動産を分割する方法は4つ
不動産を相続する際には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割などの方法があります。
注意点もあるため、状況に応じて選びましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
小樽店 柴田 朋也健康には自信があります。平成24年より不動産業に従事しており、まだまだ勉強中の身ではありますが、持ち前の体力で日々向上心を持ちお客様と向き合い成長していきたいと思っております、お客様に満足していただけるサービス提供を心がけ仕事に打ち込みます。
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