マンションの維持費というと、管理費と修繕積立費が取り上げられやすいですが、「固定資産税」もよく知っておくことが大切です。
特にマンションの場合は、一戸建てよりも課税額が高くなるケースもあります。
今回は、マンションの固定資産税について、ポイントとシミュレーションをご紹介します。

マンションの固定資産税はどう決まる？

マンションの所有権は建物のみというイメージの方も多いですが、実際は建物と土地両方です。
そのため、固定資産税も建物と土地の両方が計算されて税額が算出されます。
土地については一戸建てと異なり、ひとつの敷地をマンションの総戸数すべてで所有しているため、総戸数分で割った面積で計算することになります。
面積の割り方は、所有している物件の面積によって異なるため、同じマンション内でも固定資産税が異なる仕組みです。
固定資産税はエリアごとの各自治体が徴収するものであり、ほとんどのケースが下記の計算式によって決まります。
「固定資産税＝固定資産税評価額×1.4％（標準）」
固定資産税評価額は、土地は3年に1度の見直しが入り、再開発等で著しく変化した場合には評価額が上がるケースもあるので覚えておきましょう。
建物部分は、「経年減価補正率」という築年数によって評価が下がっていく方式があるので、築年数が考慮されて評価額が決まります。

・新築マンションの固定資産税
固定資産税は固定資産税評価額を基にして算出されますが、新築物件の場合には建物部分の調査ができていないため、評価額がハッキリとしていないことが多いです。
そのため、入居前に明確な税額を知ることは難しいかもしれませんが、不動産会社に概算の目安となる税額を確認することはできるでしょう。

・中古マンションの固定資産税
中古マンションの場合には、過去の納税額があるので購入前に確認もしやすいです。
市区町村の役場でも、固定資産税台帳から自分で調べることもできます。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に請求されるため、購入初年度は前所有者と分割になるケースもあるでしょう。

マンションの固定資産税が決まる流れとは？

マンションの固定資産税が決まる流れは、主に建物部分と土地部分の「固定資産税評価額×1.4％（標準）」による計算式で決まります。
ただし、居住用物件の土地評価額に関しては軽減措置が適用され、税金の負担が軽くなる設定があります。
建物部分の評価額は、再度同じ建物を建てるために必要な再建築価格がポイントです。
再建築価格は国税庁のホームページで標準的な価格を調べることができます。

固定資産税の軽減措置

居住用の土地の場合には、条件を満たしていると軽減措置を適用することができます。
・土地部分
・土地の200㎡以下の部分は、固定資産税評価額を1/6に軽減
・土地が200㎡を超える部分は、固定資産税評価額を1/3に軽減
・建物部分
・築年数5年以内の場合、下記条件を満たすと床面積120㎡までの評価額は1/2に軽減
適用条件
・2022年3月31日以内の施工日であること
・床面積50㎡～200㎡以下
・3階建て以上
・耐火・準耐火構造
さらに長期優良住宅の基準値である物件の場合、軽減措置期間が7年間に優遇されます。
また、高さ60ｍ以上となるタワーマンションに関しては、高層階ほど税額が高い設定になるよう例外措置の税制改正が行われました。

マンションの固定資産税をシミュレーション

それでは今までの計算式を基に、一戸建ての固定資産税をシミュレーションしてみましょう。
「固定資産税額＝固定資産税評価額（課税標準額）×（標準）税率」
・物件価格：1,000万円（土地部分300万円+建物部分700万円）
・床面積：80㎡
・築年数：6年
・エリア：北海道
・中古マンション

・土地の固定資産税評価額＝300万円×70％＝210万円×1.4％＝29,400円
・建物の固定資産税評価額＝700万円×70％＝490万円×1.4％＝68,600円
※課税標準額を70％とした場合

・土地部分特例措置：29,400×1/6＝4,900円
・経年減点補正率：68,600×1/2＝34,300円
おおよその固定資産税は39,200円となります。

マンションの固定資産税は特例措置もあり

マンションの固定資産税は、土地部分の考え方が一戸建て住宅と異なり、タワーマンション特有の特例措置もあります。
マンションの方が一戸建てより面性が狭くても、固定資産税が高くなるケースは珍しくありません。
毎年のランニングコストとなるため、先に目安だけでも調べておくと安心です。