税金のこと2021.06.17

未成年者が不動産の生前贈与を受ける際の注意点

親や親族から不動産を生前贈与として譲り受けることは決して珍しくありません。
生前贈与を行うことで、贈与者が指定した人物に確実に贈与を行うことができますし、場合によっては節税できる可能性もあります。
しかし、生前贈与を受ける人間が18歳未満の未成年者ともなると、様々な決まりや注意点がありますので、こちらで詳しくご紹介していきます。

そもそも未成年者への生前贈与は可能?

未成年者と言えば、まだ成人として認められていないため、あらゆる契約に制限がかかったり、権限がないとみなされます。
そういった背景がある以上、未成年者が生前贈与を受けることは難しいのでは?と考えている方も多いと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。

親の同意があればOK

未成年者が個人で生前贈与を受けることは、「個人で法律的行為をすることは禁止」と決まっている以上できませんが、例外として親が同意をしていれば問題ありません。
未成年者の親が「OK」という意思を明らかにすれば、その未成年者にその効果が帰属するため、問題なく贈与を受けられるとされています。
つまり、未成年者個人に権限があるのではなく、その親に権限があると考えられるでしょう。

未成年者に生前贈与をする際の注意点

未成年者や、まだ意思疎通が取れない幼児に生前贈与を考えている方は、様々な点に注意が必要となります。
こちらで特に注意していただきたいポイントについてご紹介しますので、以下に気をつけて贈与を行うようにしてください。

贈与の事実を証明する

生前贈与をすると決めた場合、必ずその事実をデータとして残しておく必要があります。
贈与は「あげます」や「もらいます」といった本人達の言葉一つで成立してしまいますが、贈与があった事実を紙やデータなどで残しておかないと、後から法律的なトラブルになる可能性があります。
また、贈与を受けた際には、贈与税がかかりますので、未成年の場合は、親権者が贈与税を申告する義務があります。
そういった作業が必要であることから、そもそも贈与契約を交わし、双方が同意したという証拠を作る必要があるのです。
贈与を証明するためには、贈与契約書を作成していきますが、初めて贈与を行う方の多くが、「作り方が分からない」と思われるでしょう。
最近では、インターネットを使って作成する方も多く、ネット上にはひな型も掲載されていますので、そちらを参考に作るのがおすすめです。
誰と誰が贈与契約を結び同意したのかという点や、それぞれの住所、署名・捺印(贈与を受ける人が未成年者の場合はその親権者のもの)贈与の対象となる不動産の所在や、地番など細かいところまで記します。
贈与の方法や、日付は忘れがちなので、それらも必ず記載するようにしてください。
基本的には、これらの情報が正しく記されていれば証拠となりますし、厳密な書き方のルールは定められていませんので、ひな型に沿って書けば問題なく作成できるでしょう。
そして、不動産の生前贈与の場合は、贈与額に応じて収入印紙を貼る必要がありますので、そちらも忘れずに用意しましょう。

不動産贈与はコストがかかる

生前に贈与をしてしまうことによって節税を受けられるなどのメリットも確かに存在しますが、保有している不動産を誰かに譲渡し、所有権の移転手続きをするというのは、実は結構な労力がかかります。
不動産を手放し、新たな人に譲る場合は、必ず所有権移転登記が必要ですが、登記自体にも費用がかかりますし、自分で行わずに司法書士などプロに依頼した場合は依頼費用も必要です。
また、その不動産の評価額に応じて、贈与税だけではなく、不動産取得税や、登録免許税も必要となるため、案外コストがかかることを覚えておきましょう。
ただし、継続して収益を得られる物件や、値上がりする可能性がある物件であれば、生前贈与を行った方が良い場合もあります。

生前贈与を行う際には税金の計算を

孫や子供に生前贈与を行おうと思っている方や、身内から贈与を受ける予定のある方もいらっしゃると思います。
もちろん贈与は贈り物として扱われるため、本来であれば喜ばしい事実ですが、贈与を受けたことによって、贈与税をはじめ、あらゆる面で税金がかかってくることも忘れないようにしましょう。
生前贈与を行う側も行われる側も、まずはどのくらい税金がかかるのかを計算することをおすすめします。

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著者
未成年者が不動産の生前贈与を受ける際の注意点

札幌手稲店 野口 祥子

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