不動産管理コラム
不動産管理のこと2025.09.25
自主管理の大家が直面するトラブルと回避策を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。
「自主管理で大家業を始めたいけれど、どんなトラブルが起こるのだろうか」
「トラブル対応を自分1人でできるか不安だ」
そんな悩みや疑問をお持ちではありませんか?
自主管理による大家業は、管理委託費を抑えられる魅力がある一方で、さまざまなトラブルに直面するリスクがあります。
今回は、自主管理の大家が直面しやすいトラブルから自主管理のメリット・デメリット、トラブルの回避策まで詳しく解説していきます。
自主管理で大家に起こりやすいトラブルとは?
自主管理とは、不動産管理会社に委託せず、大家自身が物件の運営を直接行う方法です。
入居者募集や契約手続き、家賃回収、設備の修繕手配、クレーム対応まで、幅広い業務を自分で担います。
トラブルが起きた際にはすべて大家が対応しなければならず、知識や対応力が求められます。
特に自主管理の大家が直面しやすいトラブルには、次のようなものがあります。
①家賃滞納
家賃滞納は、最も起こりやすいトラブルの一つです。
短期の遅延から長期滞納、最悪の場合は夜逃げによる未回収などが起こり得ますが、自主管理では催促や回収手続きを大家が1人で行う必要があります。
入居者との人間関係に配慮しすぎて督促が遅れたり、適切な手順を踏めずに未回収が長引いたりするリスクがあります。
②ペット飼育トラブル
「ペット不可物件」で無断飼育をされてしまうと、騒音・におい・アレルギー被害などで近隣から苦情が寄せられます。
引っかき傷や粗相のしみ・汚れがあると、退去時の修繕費も大幅に膨らみがちです。
管理会社が定期巡回していれば発覚が早いのに対し、自主管理では発見が遅れやすく、証拠を示して是正を求める交渉も難航しやすいケースがあります。
ペットの無断飼育のトラブルに関しては、こちらのコラムもご覧ください。
入居者がペットを無断飼育していたら?対応方法や放置するリスク
③設備故障の対応遅れ
水道管の破裂や排水詰まり、エアコンや給湯器の故障などは、入居者の生活に直結する緊急トラブルです。
自主管理では大家が自分で業者を探して連絡しなければならず、夜間や休日の場合はすぐに対応できないケースもあるでしょう。
対応が遅れると階下への損害賠償や生活支障でクレームに発展します。
④共用部分でのマナー違反
廊下やエントランスでの喫煙、私物の放置、清掃不足といった行為は、建物全体の印象を悪化させ、入居希望者の評価を下げてしまいます。
自主管理では定期清掃や巡回を自分で行わなければならないため、対応が遅れると「管理が行き届いていない物件」というイメージにつながってしまうこともあります。
⑤退去時の敷金精算トラブル
原状回復費用の負担をめぐって、入居者と意見が食い違うケースです。
壁紙の汚れや設備劣化が「通常損耗」か「入居者負担」かでトラブルになってしまうことがよくあります。
⑥入居者同士のトラブル(騒音・ゴミ・喫煙など)
生活習慣やマナーの違いから、騒音やゴミ出しルール違反、共用部での喫煙などをめぐって入居者同士で衝突が起こるケースもあります。
さらに室内がゴミであふれる「ゴミ屋敷化」も衛生や防災の面で深刻な問題を招きます。
自主管理では第三者的な仲裁が難しく、感情的なもつれから長期化しやすい点がリスクです。
自主管理の大家のメリット・デメリット
自主管理の大家のメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
自主管理のメリット
アパートやマンションを自主管理することで得られる主なメリットは、次の3つです。
①収益率を高められる
管理会社を使用しないため管理委託料がかからず、収益率が高まります。
複数戸を所有する大家や、専業で経営している大家にとっては特に効果が大きいといえるでしょう。
②入居者と直接コミュニケーションが取れる
大家が直接やり取りすることで、入居者の要望や生活状況を把握しやすくなります。
良好な関係は長期入居につながり、結果として空室リスクを減らす効果が期待できます。
人との交流が好きで、入居者対応を負担に感じにくい方には、自主管理は向いていますね。
③物件の状態を自分の目で把握できる
巡回や点検を行なって、建物や設備の劣化を自らの目でチェックできます。
日常的に物件に足を運べる方であれば、修繕のスケジュールを自分のペースで立てられるため、安定した管理につながるでしょう。
小さな修繕を計画的に進められることで、突発的な大規模修繕を防ぎやすくなる点もメリットです。
自主管理のデメリット
一方で、自主管理には次のようなデメリットもあります。
①時間と労力の負担が大きい
入居者募集から契約、家賃回収、トラブル対応、修繕手配まで、幅広い業務を1人で担う必要があります。
本業と両立している兼業大家にとっては、特に大きな負担となるでしょう。
②専門知識が求められる
契約内容の不備やトラブル時の対応を誤ると、法的紛争に発展するおそれも。
改正民法や国土交通省のガイドラインなど、関連法規や基準を理解していないと不利になる場合もあります。
こうした知識の習得になかなか時間を割けない方には不向きといえるでしょう。
③24時間「大家としての対応」が求められる
設備トラブルや緊急クレームは、夜間・休日を問わず発生します。
管理会社であれば24時間窓口を設けている場合もありますが、自主管理では大家自身が動かなければなりません。
休日や家族との時間を重視したい大家にとっては、大きなストレスとなりがちです。
賃貸経営でのクレーム事例については、こちらもご参考ください。
賃貸管理のクレームの事例と適切な対応について解説
なお、マンション・アパート管理を自分で行えるかどうか、さらに詳しく知りたい方は、「マンション・アパート管理は自分で行える?メリット・デメリットを解説」で解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
自主管理で大家ができるトラブル対策
大家さんが自主管理を安心して進められるように、主要なトラブルを未然に防ぎ、発生時にもスムーズに対応できる対策をご紹介します。
①家賃保証会社を活用する
家賃の督促や回収を大家1人で行うのは大きな負担になります。
そこで有効なのが家賃保証会社の利用です。
入居者に保証会社へ加入してもらうことで、滞納が発生しても保証会社が立て替えてくれるため、安定した収入を確保できます。
督促や回収業務も代行してくれる会社であれば、心理的負担も大幅に軽減されるでしょう。
②修繕・設備に関する業者リストを作成する
水漏れや給湯器の故障といった設備トラブルは、素早い対応が必要な問題です。
自主管理の場合、夜間や休日に対応できる業者をすぐ探せず、対応が遅れてしまうリスクがあります。
そのため、あらかじめ信頼できる業者の連絡先を分野ごとにリスト化しておくことが大切です。
水道、電気、ガス、内装などをカバーできるよう複数の業者とつながりを持っておけば、緊急時にも迅速に動けるでしょう。
③入居者とのコミュニケーションを強化する
入居者との信頼関係が築けていると、小さな不具合や不満を早めに相談してもらえるため、トラブルの深刻化を防ぐことができます。
具体的には、入居時に物件のルールや使用上の注意点を丁寧に説明する、定期的に巡回して声をかける、ポストへのお知らせを通じて近況を伝えるなど、接点を増やす工夫が有効です。
普段から「話しやすい大家」という印象を持ってもらえると、騒音やゴミ出しといった小さな問題も早期に解決できるでしょう。
④契約書・ルールを明文化する
トラブルを未然に防ぐには、契約時に禁止事項や使用ルールを明確にしておくことが大切です。
ペット飼育や騒音、ゴミ出し、共用部の使い方などは特にトラブルが多いため、契約書や重要事項説明書にしっかりと記載し、入居者に説明して同意を得ておきましょう。
加えて、入退去時には写真を撮影して記録を残すことも重要です。
原状回復費用をめぐって争いになった際、証拠があるとスムーズに解決できます。
⑤トラブル対策が難しい場合は委託管理も検討する
自主管理では、入居者対応や緊急トラブルが大きな負担になることもあります。
その場合は、管理会社へ委託するのも選択肢の一つです。
委託には、一部の業務だけを任せる「部分委託」と、管理全般を任せる「全面委託」があります。
自分で管理できる範囲を残しつつ、夜間対応や入居者募集だけを任せるなど部分的に専門家のサポートを取り入れるのも良いでしょう。
法的トラブルや滞納督促も任せられるので、大家の負担を大幅に減らせるでしょう。
北章宅建では、賃貸アパート・マンション・戸建の管理業務を行なっています。
物件状況に合わせた管理プランを提案し、空室対策や建物の維持保全、定期巡回などもサポート可能です。
自社で賃貸事業も営んでいるため、オーナー様の立場に寄り添った対応が強みです。
まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
●自主管理で大家に起こりやすいトラブル
自主管理で起こりやすいトラブルは、家賃滞納、ペットの無断飼育、設備故障の対応遅れ、共用部分でのマナー違反・入居者同士のトラブル対応など、多岐にわたります。
●自主管理の大家のメリット・デメリット
自主管理では収益率を高められ、入居者との関係構築や物件状態の把握を直接行えるのが大きな魅力です。
一方で、時間的・精神的な負担があったり、専門知識や24時間対応などが必要だったりと、兼業大家や遠方の物件を所有している方には大変な業務といえます。
●自主管理で大家ができるトラブル対策
トラブル対策として、家賃保証会社の活用、信頼できる業者リストの作成、入居者との良好なコミュニケーション、契約書でのルール明文化などが挙げられます。
管理会社への委託も、検討してみると良いでしょう。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者

小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。
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