不動産売却のコツ2021.07.20
古い家は、建て替え、住み替え、リフォーム?賢い選択のためのポイントとは〜その2
最初はどんなに立派な家を建てても、年月が経てば家族構成やライフスタイルが変わったり、劣化が目立つようになるなど、何かしら不満や不安が出てくるものです。
今の家を手直しして住み続けるか、別の土地で新しい一戸建てを探すかなど、自分たちに合う選択をするためには、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを理解することが重要です。前回の「建て替え」のケースに続き、今回は「住み替え」「リフォーム」のメリットとデメリットを整理していきましょう。
住み替えのメリットとデメリットとは
ここでは、「建て替え」との相違点を中心に見ていきます。
メリット①経済的負担が小さく、内覧もできる
家を住み替える場合は、建売住宅や中古住宅など、すでに完成している住宅を購入することが多いでしょう。そのため、多くの選択肢の中から、自分たちが住みやすいと思う家を選ぶことができます。
新築する場合は、完成後でなければ実際の家の様子がわかりません。「思っていたのと違う」「意外と住みづらい」など、想像とのギャップを感じることもあるものです。
その点、住み替えであれば、生活動線や環境などを内覧時にしっかり確認することができ、ほかの家とも比較できますので、住んでから「想像と違う」ということは滅多にないのです。
費用を抑えようと思ったら、中古住宅という選択もあります。今住んでいる家の売却価格次第では、新たな家を購入してもお金が余る可能性もあります。
メリット②住宅ローンが利用できる
住み替えも資金調達面で有利です。低金利の住宅ローンが使えるので、金融機関から融資を受けることができます。
住み替えは住む場所自体が変わるため、「ガラッと住環境を変えたい」と考えている人には、建て替えよりも向いていると言えます。家の選択肢が、建売、中古住宅、マンションと豊富な点も住み替えの良さです。
デメリット①気に入る家が見つかるとは限らない
一方で、選択肢が多くても、必ずしも自分たちの条件に合う家が見つかるとは限りません。住み替え先を探すタイミングで、理想的な物件が売りに出ているかどうかは運次第です。
通勤や通学経路を変えたくない場合は、結局は同じような場所に住むことになります。
デメリット②購入と売却のタイミングが合わせにくい
今住んでいる住宅の売却と、次に住む家の購入のタイミングを調整するのも難しいポイントです。
ベストなのは、売却契約を結んで代金を受け取ってから、短期間で住み替え先を見つけること。この場合は引っ越しが1回で済みます。
ところが、家がなかなか売れないと、たとえ先に良い住み替え先を見つけても購入費用が用意できません。逆に、家がすぐ売れても、良い住み替え先がなかなか見つからないこともあります。一時的に住む場所を借りるとなれば、引っ越しが2回必要になり、費用も手間も余計にかかります。
自宅の売却益で住み替え先の購入資金をまかなう場合は、タイミングが合わないと、住み替えが思い通りに進まないこともあるのです。
リフォームのメリットとデメリットとは
家をリフォームする場合には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット①総予算が比較的安く済む
リフォームの最大のメリットは、経済的な負担が他よりも低く抑えられる点です。
家を建て直すにも、新たに家を購入するにしても、少なくとも2,000~3,000万円は必要になるでしょう。それがリフォームであれば、一軒丸ごとリフォームしたとしても、大抵は総額1,000万円程度で収まることが多いと思います。クロスや床の張替え、外壁塗装くらいなら、数百万円に抑えることも可能でしょう。
リフォーム費用をなるべく安く抑えるには、水回りや汚れ・劣化の目立つ場所だけにするなど、リフォーム範囲を絞ることが大切です。
メリット②スケジュールが管理しやすい
よほど大掛かりなリフォームでなければ、施工期間中に引っ越す必要がありません。
リフォームをする部分以外は使えるため、多少は不便かもしれませんが、例えば壁紙を一部屋ずつ交換してもらうなど、住みながら工事を進めてもらうことが可能です。
また、新築と比べて工期が短いため、スケジュールが立てやすいのもメリットです。
デメリット①現状の家の建築条件や状態の制約を受ける
建て替えに比べて自由度は低いため、住環境を大幅に変えることはできません。特に狭い住宅の場合はなおさらです。
マンションの場合は、他の住宅との兼ね合いでリフォームやリノベーションできる範囲に制限がかかることも多いです。古い家の場合は、構造的な制約で希望の間取りにできない、耐震性の問題で柱や梁を交換できない、といった問題も考えられます。
また、外壁や屋根を塗装し、クロスや床を丸ごと交換したとしても、建物の古さを完全に払拭するのは難しいものです。リフォームは古い住宅への対処療法であり、一度やればもう大丈夫という性格のものではありません。
デメリット②ローンの選択肢が少なく、金利も高め
リフォームは、資金調達が難しい点も挙げられます。
住宅ローンであれば年収の5〜6倍のお金を借りることができ、返済期間も最長35年まで設定できます。銀行によってはそれ以上の返済期間が設定できるものもあります。
しかし、リフォームローンを取り扱っている金融機関は少なく、住宅ローンに比べ金利が高めで借入年数も短いなど、条件はあまり良くありません。
そのため、基本的には自己資金をしっかり準備しておきたいところ。特に耐震性や断熱性など、住宅性能を大きく向上させるリフォームの場合は多くの資金が必要になります。費用によっては、新築住宅を建てる方が良いというケースもあります。
まとめ
建て替え、住み替え、リフォームには、それぞれ一長一短があります。
建て替えは土地代が発生せず、住み慣れた環境から離れる必要がありませんし、住み替えの場合は売却益で希望の住宅を購入することができます。リフォームはコストは抑えられますが、長く住み続けることを考えれば、建て替えをした方が良い場合もあります。
「工事にいくらかかるか」だけに気を取られず、引越しの有無やスケジュール、資金管理など、メリットとデメリットを比較して最善の方法を選択するようにしましょう。