税金のこと2026.02.26
借地権相続で税金はかかる?注意点と相続後の選択肢も解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
実家が借地権の物件で相続の話が出てきたものの、「借地権にも相続税はかかるのだろうか」「手続きでトラブルにならないだろうか」と不安に感じていませんか?
借地権は土地を借りているだけなので、相続税は建物だけにかかると思われがちですが、実は借地権自体も相続財産として評価され、課税対象となります。
今回のコラムでは、借地権を相続したときの税金の基本的な考え方に加え、起こりやすいトラブルや相続後の選択肢について、順を追って紹介します。

借地権を相続した場合にかかる税金とは?
借地権を相続した場合、借地権は相続税の課税対象になります。
土地そのものは地主の所有物ですが、借地権という「土地を利用する権利」には財産的な価値があるとみなされるためです。
また、借地上の建物について被相続人からの名義変更「相続登記」を行う際には、登録免許税がかかります。
相続登記については「不動産の相続登記、必要書類はこれ。自分でできる相続の手続き」で詳しく解説しています。
相続税がかかる・かからない判断基準
借地権は相続税の課税対象ですが、必ず相続税を支払うことになるわけではありません。
相続税は、借地権だけでなく、預貯金や有価証券、不動産など全ての相続財産の合計額が「基礎控除額」を超えた場合にのみ課税されます。
基礎控除額の計算式は次の通りです。
「基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」
例えば、法定相続人が配偶者と子ども1人の合計2人であれば、「3,000万円+1,200万円(600万円 × 2人)=4,200万円」となり、基礎控除額は4,200万円となります。
借地権の評価額とその他の財産を合算しても4,200万円以下であれば、相続税は原則としてかかりません。
借地権の評価の仕組み
借地権の相続税評価額は、次の計算式で求めます。
「借地権の相続税評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合」
自用地評価額とは、その土地を所有していると仮定した場合の評価額を指します。
一般的には国税庁が公表している「路線価」をもとに算出します。
路線価は道路ごとに1㎡あたりの価格が千円単位で示されており、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。
借地権割合は地域ごとに異なり、30%から90%の範囲で設定されています。
路線価図では「A(90%)」から「G(30%)」のアルファベットで表示されており、都市部ほど割合が高くなる傾向があります。
例えば、路線価が30万円/㎡で土地面積が100㎡、借地権割合が60%の地域の場合では、下記の計算により、借地権の相続税評価額は、1,800万円となります。
- 自用地評価額:30万円 × 100㎡ = 3,000万円
- 借地権評価額:3,000万円 × 60% = 1,800万円
借地権については「借地権とは?旧法・新法による借地権の種類や調べ方などを解説」でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
借地権の種類による評価方法の違い
借地権には、大きく分けて普通借地権と定期借地権の2種類があります。
【普通借地権】
契約更新が可能で、長期間にわたって土地を利用できる借地権です。
一般的な住宅の借地は普通借地権に該当することが多く、相続税評価額は「自用地評価額 × 借地権割合」で算出します。
【定期借地権】
契約期間の満了とともに土地を地主へ返還することが前提の借地権です。
建物を解体して更地に戻す必要があるケースもあり、評価額の算出には残存期間や地代と適正地代との差額などを加味するため、計算が複雑になりやすいのが特徴です。
このため、税理士などの専門家へ相談することも少なくありません。
土地を更地にする必要性については「借地を更地にして返す義務はある?返還の流れと注意点」で詳しく解説しています。
借地権と使用貸借との違い
親族間などで地代を支払わずに土地を借りている場合は「使用貸借」と呼ばれ、法律上は借地権とは扱われません。
そのため、無償で土地を借りている使用貸借については、通常は借地権のような財産的価値は認められず、土地の利用権自体が相続税評価の対象とならないケースが一般的です。
ただし、具体的な取り扱いは契約内容や利用実態によって異なるため、個別の判断が必要になります。
「借りている土地=全て借地権」と思われがちですが、無償で借りている場合は税金の扱いが異なるため、この違いを理解しておくことが重要です。
借地権相続でトラブルが起こりやすいケースは?売却時に注意すべきポイントも確認
借地権は相続できる権利ですが、所有権と同じ感覚で扱うとトラブルにつながりやすいです。
相続時に起こりやすいトラブル例
まず、借地権を相続する際に発生しやすいトラブルをご紹介します。
①相続による借地権の承継に、地主の承諾が必要だと誤解している
借地権の相続は法律上の権利承継です。
地主の承諾は不要ですし、地主が拒否することもできません。
②相続後に必要な「地主への通知」や名義整理を行なっておらず、あとから問題になる
借地権の承継に地主の承諾は不要でも、連絡はしておきましょう。
相続人が誰なのかを地主が把握していないと、地代の支払先や契約更新時の連絡で混乱が生じる可能性があります。
また、借地上の建物の相続登記を行わず放置すると、借地権者と建物所有者の名義が一致しなくなり、売却や建て替え時に手続きが複雑になります。
③共有相続によって意思決定が進まなくなる
兄弟姉妹など複数人で借地権を共有相続すると、売却・建て替え・賃貸などの重要な判断に全員の同意が必要になります。
意見がまとまらない場合、地代や固定費だけを払い続ける状況になりやすく、結果として資産活用が進まなくなる点に注意が必要です。
借地権の売却時に注意すべきポイント
次に、借地権を売却する際に注意すべき特有のポイントも確認しておきましょう。
①相続と売却では地主の承諾の要否が異なる
相続による承継では地主の承諾は不要ですが、第三者への売却や譲渡では地主の承諾が必要になります(民法第612条)。
承諾が得られなければ売却が成立しないため、売却を検討する段階で地主の意向を確認しておくことが重要です。
②承諾料が発生し、手取り額が減少することがある
承諾料の水準は法律で一律に決まっているわけではありませんが、実務上は借地権価格の10%前後を目安とする取引も見られます。
実際の金額は地域や契約内容、交渉状況によって大きく異なるため、個別に確認する必要があります。
売却価格がそのまま手元に残るわけではないため、資金計画を立てる際には承諾料を含めて考える必要があります。
③買い主が限られ、売却期間が長引くことがある
借地権付き建物は、地代負担や建て替え制約があるため、一般的な不動産売却と比べて購入希望者が少なくなる傾向があります。
借地権の取引経験が少ない不動産会社では販売活動が消極的になることもあるため、借地権の売買実績がある会社へ相談することが重要です。
借地権付き建物が売りにくい理由については、「借地権付き建物は売れない?売却する方法やメリット・デメリットも」で詳しく解説しています。
借地権は法律上相続できる財産ですが、土地の所有権とは異なり、処分や変更の場面で地主との調整が必要になります。
相続時と売却時で必要な手続きが異なる点を理解しておくことで、あとから慌てるリスクを抑えられます。
借地権相続後の選択肢と税金を踏まえた不動産の整理方法

借地権付き建物を相続したあとは、税金や将来の負担も踏まえた上で、「建物を活用する」か「手放す」かの2つの方向性から考えると整理しやすくなります。
建物を活用する場合の考え方
建物を活用する選択肢には、「住み続ける」「賃貸に出す」という方法があります。
この場合、相続税の支払いが済んだあとも、地代・建物の固定資産税・修繕費といった継続的な支出が発生する点を理解しておく必要があります。
住み続ける場合
自宅として利用する場合、家賃は不要ですが、地代と建物維持費は継続します。
将来建て替えを行う際には地主の承諾や承諾料が必要になることもあり、長期的な居住予定があるかどうかが判断の基準になります。
賃貸に出す場合
家賃収入を得ながら地代や維持費を補える可能性があります。
一方で、空室リスクや修繕費の負担があるため、収支の試算を事前に行い、賃貸運営のメリットがあるか検討が必要です。
建物を手放す場合の考え方
借地権付き建物を手放す場合、地代や維持費の負担はなくなります。
ただし、売却価格が取得費や諸費用を上回り、利益(譲渡所得)が出た場合には譲渡所得税が課税される可能性にはご注意ください。
売却に関わる税金や、譲渡所得税については、下記のコラムで詳しく解説しています。
不動産売却の税金はいつ払う?種類や支払いのタイミングを解説
不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説
借地権付き建物を手放す方法には、主に次の3つの選択肢があります。
①不動産会社を通じて第三者へ売却する(仲介)
不動産会社に仲介を依頼し、一般の買い主へ借地権付き建物として売却する方法です。
市場価格に近い金額で売却できる可能性がありますが、地主の承諾や承諾料が必要になるケースが多く、売却まで時間がかかることがあります。
借地権の取引経験がある不動産会社への相談が現実的です。
②不動産会社へ直接買取してもらう
買取とは、不動産会社に直接売却する方法です。
広告など販売活動が不要なため、仲介よりも早く現金化しやすい点がメリットですが、売却価格は仲介より低くなる傾向があります。
なお、この場合も地主の承諾が必要になるのが一般的です。
③地主と直接交渉する(買取・返還)
第三者へ売却するのではなく、地主と直接話し合う方法です。
選択肢は主に次の2つです。
【地主に借地権を買い取ってもらう】
借地権と建物を一体として引き取ってもらう形です。
地主にとっては土地を自由に利用できるようになる利点があるため、スムーズに手放すことができるかもしれません。
ただし、市場価格より低い金額になる傾向があります。
【建物を解体して土地を返還する】
土地上の建物を解体し、土地を利用する権利を返還する方法もあります。
解体費用もかかりますし、売却益は期待できませんが、できるだけ早く借地権の関係を整理したい場合に向いています。
以上のように、それぞれメリット・注意点が異なるため、いずれにしても、借地権を相続した場合は、早めに方向性を決めることが重要です。
相続後の早い段階で方向性を決めることで、税金・費用・人間関係の負担を抑えやすくなります。
借地権の扱いに慣れておらず、方向性を決めかねる場合は、不動産会社や税理士などの専門家に相談することで、選択肢ごとの税金や負担を具体的に把握できるでしょう。
まとめ
●借地権相続でも税金がかかる可能性がある
借地権は相続税の課税対象となり、自用地評価額に借地権割合を乗じて評価します。
ただし、相続財産の合計が基礎控除額以下であれば相続税は発生しません。
●借地権の相続と売却では手続きや注意点が異なる
借地権の相続自体に地主の承諾は不要ですが、売却時には承諾や承諾料が必要になることがあります。
●借地権の相続後は、活用か手放すかを早めに整理する
借地権付き建物には、住み続ける・貸す・売却する・地主へ返還するなどの選択肢があり、税金や地代、維持費の負担を踏まえて判断することが大切です。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
小樽店 小林 康之弊社は数ある不動産会社の中からお客様に選んでいただくために、マーケティングやブランディングなど常に改善を行っております。自分自身もそんな会社に負けないようにアップデートし学び続け、お客様との信頼関係を作るよう努力し、その輪を広げて行きたいと考えております。
この担当者がいる店舗のページ
